香山リカ

会見での安倍首相は、問題を単純化して説明しているように見えた。「攻撃を受け、逃げているおじいさん、おばあさんを救えない」といった例えで心情に訴える。「目の前で倒れている人を救わないのか」と、国民1人1人の善意に訴える巧妙なレトリックだ。さまざまな思惑で踏み切ったことを説明しないで、全てを善意に置き換えて納得させようとする姿勢に欺瞞を感じる。集団的自衛権の行使は、そのような生活感覚で語られる問題とは次元が違う。